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私的乗り潰し考


はじめに

 「乗り潰し」について、その定義なり条件なりを考えるとき、それは諸説あり、一概にこれが正しいと言うことはできない。それは、「乗り潰し」という行為がそもそも自己満足的行為に起因しているからに他ならないからである。したがって、私見を言わせてもらうならば、「乗り潰し」のルールは、乗り潰しに挑戦している人の数だけあっておかしくはないのである。その人の好きにすれば良いと考えている。

 では、どうして私が乗り潰しについて言及するのか。それは、私が当サイト中で、自己の乗り潰しについて触れているからである。元来、いかなる情報であっても、それを発信するときにはそれがより安全性の高いものとして提供されるべきであると考えている。だとするならば、主観的要素の強い「乗り潰し」に関する情報を発信する以上、そこに幾分かの客観性を持たせるべきではないかと考えたのである。その上で、私はこのような基準を設けて乗り潰しをしているということを表象しておく必要があったのである。

1.私の乗り潰し基準

 基本的に乗ればそれで乗車したとする。夜は、乗車したこととしないとする説もあるが、私の場合、昼夜に関わらず、乗車すれば乗ったこととみなす。私の考えでは、そもそも「乗る」ということとは何かを考えたときに、それはまさに乗ることであり、すなわち、出発地から目的地までをその路線上を走る鉄道車両によって移動したことであるからだ。

 風景、景色、車窓を見なければ乗ったことにはならず、よって夜間は乗車したことにならないと考えられる方もいらっしゃることと思われるが、その際にいくつか疑問とすることがある。風景などを見ることを条件とするならば、夜には風景が見れないとするのはおかしい。例えば、江差線からは夜にはイカ釣り漁船の煌煌とした灯りを見て取れるし、函館の街から発せられる光を楽しむことができる。また、山陽本線でも明石海峡大橋のライトアップを見ることができる。あるいは、月明かりに照らされた稜線や水面も、やはり夜間ならではの風景ではなかろうか。全く見えない場合でも、それがその時にしか見られない風景であろう。さらに言うならば、夜間の車内風景もまたその時にしか味わうことができない。だとするならば、夜間でも夜景を見ることができるし、これを風景が見られないとするのは私としてはおかしな話である。夜景の見られる区間を乗車区間としてみなすというならば、夜景の見える区間と見えない区間の境界線がはっきりせず、客観性を失う。さらに言うならば、トンネル区間や地下路線区間などは、風景など見られるはずもなく、風景を見ることを条件とするならば、いつまで経っても未乗区間となる。これを例外として扱うならば、どうしてトンネルは良くて夜間は除外されるのかという説明がつかない。また、例外の多い基準となり、基準が曖昧化する。私は、そもそも風景というものは、目で見えるものだけをいうのではないと考えている。それは、匂い、音、体感するものなど、五感で感じ取れるものだからだ。これらは、そのときその場所にいない限り、味わうことができないのである。

 だとするならば、そもそも「風景を見ること」を乗り潰しの条件とする前提に誤りがあると考えた。よって、そのような曖昧な基準を設けず、私の場合の乗り潰し基準として、「乗ること」を大前提として置いたのである。

1.2 乗り潰し対象路線

 乗り潰し対象路線は、日本国内における旅客鉄道線である。ただし、鋼索鉄道(ケーブルカー)および無軌条電車(トロリーバス)を除く。

2.下り線、上り線

 乗り潰しを全ての線路上を通るということにすると、それは物理的に不可能である。何故ならば、貨物線や操車場の中も対象とされるからである。では、旅客営業路線に対象を絞るならば、これは不可能なことではないが、駅構内における1番線2番線などの取り扱いが不明確になる。例えば、信越本線高田駅の3番線や山陽本線金光駅の3番線などのように、一般客が利用できなさそうな線路をどのように取り扱うか。私は、その基準が明確にならない時点では、これを基準にすることはできない。

 他にも下り線、上り線と分けられる路線の場合がある。しかし、これは、駅構内の線路配置がどうとか細かいことを考えなければ、基準として設けることは可能である。ところが、私の場合、下り線、上り線のどちらか一方だけを乗れば、乗車区間としてみなしている。なぜならば、私の場合は、「線路乗り潰し」ではなく、「路線乗り潰し」をしているからである。

2.2 短絡線

 短絡線とは、本線とは別にショートカットしたり、バイパス的に設けられた路線のことである。湘南新宿ラインや宇多津駅構内の児島〜坂出直通ルートなどがそれである。私の場合、これを乗り潰しの対象にはしないこととする。その理由は、頻繁に定期列車が通る区間もあれば、貨物列車や回送列車、臨時イベント列車など、不定期にしか運行しない列車や、またそもそも乗車できない列車だけが通る区間など、一致していないことにある。ただ、乗り潰しに算定しないだけであって、『乗らない』ということではない。

3.当該路線の管轄変更――第3セクターへ移管など

 東北本線の盛岡〜八戸間が、IGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道として経営を移管された。移管前に乗車であれば、JR東日本東北本線を乗車。移管後であれば、第3セクター「IGRいわて銀河鉄道」、同「青い森鉄道」の路線を乗車ということになる。移管後、東北本線の盛岡〜八戸間の「完乗」は乗ったという既成事実がある以上、リセットする必要はない。しかしながら、各第3セクター線としての盛岡〜八戸を「未乗」とする。このように、第3セクターなどへ経営を移管する場合は、同じ路線を改めて乗車ということになろう。

4.路線の新設、廃止

 新設の場合は、当然に未乗区間として設定される。これに異論はないであろう。廃止の場合も、未乗の場合、未乗区間として既成事実が残るのみである。

5.通称名としての路線、区間の重複する路線について

 JR東日本に京浜東北線の電車が走っていることは有名であるが、実は京浜東北線という路線はない。京浜東北線は、東海道本線と東北本線の緩行線としての通称だからである。したがって、本来は東海道本線と東北本線を乗車すれば、京浜東北線も完乗ということになろう。また、この論理で考えるならば、横須賀線の東京〜大船間なども乗車したこととなる。お手元の路線図をご覧いただければご理解頂けると思うが、東海道本線と東京〜大船間の横須賀線は、全く別の路線のように見えるだろう。これを東海道本線と同視するのは些か乱暴なようである。そこで、正式な路線でなくしても時刻表に載っているような通称路線(路線の愛称ではない)も別路線として扱うこととした。しかしながら、実は不都合もあって、それは東北本線の東京〜上野間の取り扱いである。東北本線の東京〜上野間は、現在、通称としての山手線、京浜東北線、中央本線(東京〜神田)が走っている。東海道本線のような快速線はない。となると、山手線、京浜東北線などを乗れば東北本線(快速線)を乗車したこととすると、上記論理と矛盾する。

 しかし、東北本線のいわゆる快速線が、近年中に東京〜上野間に設けられ東海道本線と直通するという話を聞いた。これが、開業するまでは暫定的ではあるが、京浜東北線および山手線で代替させ、開業後に改めて新線に乗車することとした。

通称名としての路線の取り扱いについて
京浜東北線 大宮〜横浜は、いわゆる東北本線、東海道本線とは別のものとして算定する。
山手線 正式路線と重複する区間も、それとは別のものとして算定する。
埼京線 正式路線と重複する区間も、それとは別のものとして算定する。
横須賀線 大宮〜横浜は、いわゆる東海道本線とは別のものとして算定する。
中央・総武緩行線 正式路線と重複する区間も、それとは別のものとして算定する。
常磐緩行線 正式路線と重複する区間も、それとは別のものとして算定する。
その他 ケースバイケースで。

 区間の重複する路線としては、例えば阪急電鉄の梅田〜十三間が挙げられる。この場合は、全く別の線路上を行く場合、各路線の乗車によって算定する。また、阪急電鉄の京都本線は十三〜河原町間で、梅田〜十三間は宝塚本線という形になっている。しかし、京都本線は、いわゆる宝塚本線の線路上を通ることはなく、複々線として梅田〜十三間を運行している。この場合も複々線の京都本線列車を乗ることによって乗車したものとする。

6.最後に

 以上、大げさに述べてきたが、これはあくまで私が乗り潰しをする上で決めた基準であり、これを他人様に押し付けようなどと考えるものではない。しきりに客観性というものを主張してきたが、その実は結構いい加減なものである。初めにも述べたように、乗り潰しが自己満足的行為である以上、100人いれば100通りの乗り潰し方があると考えている。ここで述べたことは現時点で考えていることで、さらに合理的な基準があるならば、それを取り入れることに吝かではない。よって、加筆、修正がなされることもありえることをご了承願いたい。

[2007年01月加筆・修正]

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