| 乗車列車&関連画像 |
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| 9646D快速さんりくトレイン北山崎号久慈行き |
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| 前面展望の様子 |
どうにも蒸し暑く感じる。在来線の連絡通路にある発車案内を見ると、次に乗る宮古行きの快速さんりくトレイン北山崎号は6番線から発車するという。携帯電話の時計表示を見ると9時36分であったから、車両全体を撮影するために、向かいのホームの5番線へと向かった。北東北デスティネーションキャンペーンを記念にあしらったラッピングが車両に施されている。
急いで6番線へと移動する。実は、今回も昨年に引き続いての乗車となり、やはり先頭となる3号車の指定を抑えている。したがって、席の心配はないが、発車時間まで僅かとあって多少焦った。しかし、本州は暑い。
前回は3号車の1番A席で最前列ながらも進行方向左側、すなわち運転士の真後ろであった。今回は、同じく最前列だが、進行方向右側の1番D席となる。なお、この列車の前数列はハイデッカータイプとなっており、運転台を通して展望ができるというものである。
盛岡から山田線に入ると、途端に風景が鄙びてきた。県庁所在地でも、都会的な風景はごく限られており、僅かに走ればその雰囲気は感じられない。実は、そんな地方の県庁所在地は幾らでもある。むしろ、都会の風景が延々と続くところの方が少ない。それだけ、日本の人口分布はある一定の地域に偏向しているのだと感じさせる。
車内は展望席を中心に乗車率が高く、空席は見あたらない。しかし、1番C席、すなわち私の隣は空いている。すると、入れ替わり立ち替わり、後ろの客がその空席へ腰を掛けにやってくる。座っているならじっとしていて欲しいものだが、バタバタとするのには閉口した。
私は、車内に備え付けの駅弁の注文用紙に注文内容を書いて、車掌に手渡した。本来は、JR東日本の旅行代理店びゅうプラザで数日前までに予約をせねばならないが、飛び入りで申し込むこともできる。その場合、下り列車が区界駅に到着するまでに車内備え付けの用紙に必要事項を記入して車掌に手渡さねばならない。なお、注文できるのは、宮古駅で駅弁を取り扱う魚元の「さんりくトレイン弁当」、「いちご弁当」などである。また「さんりくトレイン北山崎号」では、かような理由から宮古行きのみの取扱となり、盛岡行き車内では注文を受けてはいない。
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| 区界駅 |
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| 兜明神岳 |
列車は山間の小駅、区界駅に到着した。岩手県の内陸と沿岸部とを隔てる北上山地の中にあって、そのサミット上に位置する駅である。二面二線の相対式ホームが伸びる小さな駅だが、有人駅でもある。山田線の列車は、この駅で交換する。このさんりくトレインも盛岡行きの列車と交換するためにしばらく停車することになった。
この停車時間を利用して、乗客らはホームへと出る。ホームでは地元の特産品などを販売していると、予め車内で案内があったから、それを見に出た人もいたろう。私は外の空気を吸うためにホームに出てみた。どんよりと曇っていたが、ポツリポツリと雨が顔を打つ。どうにも、この旅は天気に恵まれない。そろそろ晴れて欲しいところだが、考えてもみれば今は梅雨の真っ最中で、東北となれば最も梅雨の明けるのが遅い地域でもある。この時期に恵まれた天気を欲するのも無理な話なのかも知れない。その上、台風4号が紀伊半島の東海上にあって東進しており、梅雨前線を刺激している。雨が降って当然であった。この先、荒天による運転抑止がないことを祈る。
突起した山頂が特徴的な兜明神岳を見上げて、私は車内へ戻った。列車が出発してすぐに車掌の観光案内放送があり、先ほどの兜明神岳をガイドする。
20分ほどして、トンネルに入った列車は速度を落とす。再び車掌による車内放送があり、トンネルを出るとすぐに右手側の車窓には大峠ダムが見えるという。その背後には早池峰山も見えるというが、こちらはこの天気で見えないだろうとのこと。実は、昨夏、この列車に乗車したときには左手の席だったので、わざわざ向かい側に移動しての撮影だったが、今回は右側の席で好都合だ。というより、このダムのために敢えて右側の席を選んだと言ってもいい。
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| 大峠ダム |
トンネルを出ると、大峠ダムが現れた。車窓を楽しめるようにと、列車は最徐行で走る。大峠ダムは、いわゆる水を蓄えるためのダムではなく、砂防ダムか堰のようである。そこを水が溢れて流れる様子が幅の広い滝の様子で、周りの緑に映えて美しいのだ。
山田線と並行する国道106号線は閉伊街道という。閉伊とは聞き慣れない言葉だが、この山田線沿線一体の地域を閉伊郡といったらしいから、それに由来しているのだろう。腹帯駅を通過した直後からその閉伊街道と右側に並走するようになる。そこにさっきからずっとこのさんりくトレインに付いて走る4WD車があって、助手席には小学生ほどの女の子がこちらをずっと見ている。そこでこちらから手を振ってあげると、その女の子も手を振り返す。そして、運転している父親にその旨を伝えているのか後ろを振り向くが、すぐにまたこちらに向き直して手を振り返す。相当に喜んでいるようであり、面白がっている様子であるのがその笑顔から伺える。こちらも、あまりしつこく手を振っているのを変だと思われては困るので、前を向いていた。すると、トンネルに入って閉伊街道とは分かれた。11時36分、列車は岩泉線との分岐駅、茂市駅に到着した。
茂市駅は岩泉線との分岐駅だが、この時間に茂市から岩泉線に接続する列車はなく、15時35分発まで約4時間も待たねばならない。接続が良ければ、寄り道もして岩泉まで出かける算段もあったのだが、今回はお預けとした。もし寄り道をするなら、さんりくトレインで小本まで行き、そこからバスで龍泉洞へ行って観光した後、やはりバスで岩泉駅まで行き、そこから別途運賃を支払って宮古まで行くというものである。
さて、さんりくトレインが茂市を出ると、雨が降ってきた。そして、いよいよフロントガラスも雨に濡れて視界が悪くなってきている。運転士はワイパーで雨を除けるが、私の前の雨はそのままである。
鉄橋を幾つか渡ると、また閉伊街道が右に付いた。すると、どこかで見たことのある車が車窓に映る。もしやと見てみると、やはりあの女の子がこちらに手を振っている。今度は、向こうから手を振ってきたのだ。無視するのも可哀想だと、こちらからも振り返すと、案の定、女の子は大喜びであった。
ますます雨の強くなる宮古の市街地に列車は入った。11時52分、宮古駅に到着。私は下車した。盛岡よりも肌寒かった。
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